町工場二階空目薬工房

KOICHI FURUYAMA


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一澤帆布『帆布茶団布茶物語』案

一澤帆布に至る道 (3)

フィレンツェにきたのはもちろんウィフィッツ美術館を見るためである。いくらカバンに淫しているとはいえ画業を本分としているわけだから迷わず美術館に向かった。
その前に腹ごしらえをしたが、そこの店の名物である鳥料理は少々焼きすぎて上手ではなかったけれど、鳥の味はおいしかった。ハーフボトルのワインを飲み干してウィフィッツの4階の階段を上り詰めると、すっかり夢見ごこちであった。

最初の部屋がいきなりジョットーである。つぎにウッチェロの間を通りボッティチェリの部屋に入る。そこにプリマベーラがあった。
この時まで私は人がよく言うところの『絵の前で唖然として1時間立ち尽くしていた。』と言うのを聞くと、その人はよほど頭が悪いのであると思っていた。
伝統的な技法による絵画は8割が方程式で出来ていて、しばらく見ていると、舞台裏が見えてしまうものである。絵描きをいうのは人の作品のアラを探して、なんだあコイツたいしたことないやといって鼻の穴を膨らませる生き物である。

かく言う私もその一味である以上当然その試みをプリマベーラにも当てはめてみた。ところが、この作品完璧なのである。もうこれは人間業ではなく神々の世界のものである。ようするに私は芸術というものは神々に至る道であるというのを始めて知ったのである。この日以降自らを「殉教者」と称するになったのであるが、これを飲み会の席などで言ったりすると大笑いされた挙句、しなちくなどを顔にぶつけられる。
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カバン


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